基礎知識
内向型と外向型の違いとは? 両向型も含めて、エネルギーの仕組みから整理する
内向型と外向型の違いは、「明るいか、暗いか」ではありません。結論から言うと、2つの違いは心地よく感じる刺激の量と、エネルギーの回復の仕方にあります。外向型は人との交流や変化の多い環境で活力を得やすく、内向型は静かな環境やひとりの時間で回復しやすい傾向があります。そして実際には、多くの人がその中間の「両向型」に位置しています。この記事では、刺激と覚醒の理論、性格心理学のビッグファイブ、行動の比較表、両向型の研究を順に整理したうえで、内向型の人が無理なく力を発揮するための考え方をお伝えします。
この記事の要点
- 内向型と外向型の違いは、心地よい刺激の量とエネルギーの回復の仕方にある
- 外向性は連続的な特性で、多くの人は中間の「両向型」に位置する
- 両向型の営業成績が最も高い傾向を示した研究がある(Grant, 2013)
- 外向的にふるまうと気分は上がるが、数時間後の疲れが増えるという研究もある
- 「外向型を演じる」でも「内にこもる」でもない、第三の選択肢がある
内向型と外向型の違いは「心地よい刺激の量」
内向型と外向型の違いを理解するいちばんの近道は、「どれくらいの刺激が心地よいか」という視点で見ることです。にぎやかな飲み会で元気になる人もいれば、同じ場で少しずつエネルギーが減っていく人もいます。その差は、性格のよし悪しではなく、刺激に対する好みの違いとして説明できます。
内向型とは、外からの刺激や人との関わりよりも内面の思考に意識が向きやすく、静かな環境やひとりの時間でエネルギーを回復しやすい性格傾向のことです。
外向型とは、人との交流や変化の多い環境から活力を得やすく、外の世界に向かって行動することでエネルギーが高まりやすい性格傾向のことです。
両向型(アンビバート)とは、内向型と外向型の中間に位置し、場面に応じて両方の傾向を見せる人のことです。
内向型・外向型という言葉は、心理学者ユングが性格の類型として広めたものです。現在の性格心理学では、人を2つのタイプに分けるのではなく、「外向性」という1本の物差しの上のどこにいるかを連続的に測るのが一般的です。内向型の全体像については、内向型とは? 特徴・原因・強み・生かし方の総合ガイドで総合的にまとめています。
エネルギーの違いを説明する「覚醒」の理論
なぜ内向型は刺激の多い場所で疲れやすいのでしょうか。よく知られているのが、心理学者ハンス・アイゼンクが1967年に提唱した覚醒理論です。アイゼンクは、内向型はもともと脳の覚醒水準が高く、外向型は低いと考えました。
この理論に従うと、内向型は少ない刺激で「ちょうどよい覚醒」に達するため、刺激が多すぎると過剰になって疲れやすくなります。反対に外向型は、刺激が少ないと覚醒が足りず退屈を感じやすいので、人や変化を求めて動きやすい。人によって最適な刺激の量が違う、という考え方です。
注意
アイゼンクの覚醒理論は、その後の研究で支持する結果と支持しない結果の両方が報告されており、脳波などの指標でも一貫した結論は出ていません。「内向型の脳は常に覚醒が高い」と言い切ることはできず、刺激の好みの違いを説明する有力な仮説の1つとして受け止めるのが適切です。
それでも、「人によって最適な刺激の量が違う」という視点は、日々の疲れを理解するうえでとても役に立ちます。人と会ったあとの疲れの仕組みは、内向型が人と会うと疲れる理由と回復法でくわしく解説しています。
ビッグファイブで見る「外向性」の6つの側面
現在の性格心理学で広く使われているのが、性格を5つの特性でとらえる「ビッグファイブ」です。内向型と外向型は、このうちの「外向性」が低いか高いかで表されます。
代表的な性格検査NEO-PI-Rでは、外向性はさらに6つの側面(ファセット)に分けて測られます。外向性は1つのかたまりではなく、いくつかの要素の組み合わせだということがわかります。
| 側面 | 内容 | 低い(内向型寄り)場合の表れ方 |
|---|---|---|
| 温かさ | 人への親しみや好意 | 親しくなるまでに時間がかかる。打ち解けると深い関係を築く |
| 群居性 | 人と一緒にいることを好む | 大人数より、少人数やひとりの時間を好む |
| 主張性 | 集団の中で自分を押し出す | 自分から場を仕切るより、考えてから発言する |
| 活動性 | 忙しく、テンポよく動く | 自分のペースで、ゆっくり着実に進めたい |
| 刺激希求性 | 興奮や刺激を求める | にぎやかな場所や派手な刺激をあまり求めない |
| 肯定的情動 | 楽しさや喜びを感じやすい | 感情を穏やかに表現する。はしゃぐより静かに楽しむ |
この6つは、人によって高低の組み合わせが違います。たとえば「群居性は低いけれど、温かさは高い」人は、大勢の集まりは苦手でも、親しい人をとても大切にします。自分がどの側面で内向型寄りなのかを知ると、「全部が苦手なわけではない」と気づけることも多いはずです。
内向型と内気(シャイ)は違う
よく混同されるのが、内向型と内気です。内向型は刺激の好みやエネルギーの回復の仕方に関わる傾向で、内気は人からどう見られるかへの不安や緊張に関わる傾向です。人前で話すのは平気だけれどひとりの時間が必要な内向型もいれば、人と関わりたいのに緊張してしまう外向型もいます。また、刺激への感受性の高さを表す「HSP」も、内向型とは別の概念です。違いは内向型とHSPの違いで整理しています。
内向型と外向型の行動の違い【比較表】
日常の場面で、内向型と外向型の違いがどのように表れやすいかを表にまとめました。あくまで傾向で、すべての人に当てはまるわけではありません。
| 場面 | 内向型の傾向 | 外向型の傾向 |
|---|---|---|
| エネルギーの回復 | ひとりの時間や静かな環境で回復する | 人と話したり外に出たりして回復する |
| 会話 | 聞き役が多い。少人数で深く話したい | 話し役が多い。大人数でも盛り上がれる |
| 考え方 | 考えてから話す。頭の中で整理したい | 話しながら考える。口に出すと整理される |
| 会議 | その場での即答が苦手。事前に資料がほしい | その場での議論やブレストが得意 |
| 仕事の進め方 | 1つのことに集中して深く取り組む | 複数のことを並行し、テンポよく進める |
| 人間関係 | 狭く深い関係を好む | 広く多様な関係を好む |
| 休日 | 家や静かな場所で過ごしたい | 予定を入れて出かけたい |
| 刺激が多すぎるとき | 疲れて口数が減る。早く帰りたくなる | あまり疲れず、むしろ活力が出る |
表を見ると、どちらにも強みと弱みがあることがわかります。内向型の慎重さや集中力、深い関係を築く力は、仕事でも大きな武器になります。働き方への生かし方は内向型に向いている仕事と働き方で紹介しています。
両向型(アンビバート)とは? 実は多数派かもしれない
「自分は内向型とも外向型とも言い切れない」と感じる人は少なくありません。外向性は身長のように連続的に分布する特性なので、極端な内向型や外向型よりも、中間付近にいる人のほうが多いと考えられています。この中間の人たちが、両向型と呼ばれます。
両向型は、場面に応じて話す側にも聞く側にも回れる柔軟さが特徴です。親しい人とは盛り上がれるけれど、初対面が続くと疲れる。人と会う予定が続くとひとりになりたくなるが、ひとりが長すぎると誰かと話したくなる。そんな揺れを感じている人は、両向型かもしれません。
両向型の営業成績が最も高かった研究
両向型が注目されるきっかけになったのが、組織心理学者アダム・グラントが2013年に発表した研究です。グラントは、コールセンターで働く340人の営業担当者を対象に、外向性の得点と3か月間の売上の関係を調べました。
その結果、外向性と売上の関係は直線ではなく逆U字の形を描き、中間の両向型の売上が最も高い傾向が見られました。グラントは、両向型は話すことと聞くことを柔軟に切り替えられるため、相手に押しつけがましくならずに主張できるのではないかと考察しています。
ただし、この研究は1つの職場を対象にした相関研究で、外向性が売上を「生み出した」と因果関係まで示したものではありません。営業以外の仕事や、別の文化圏でも同じ結果になるかは、さらに検証が必要です。「両向型が最強」と言い切るのではなく、「話す力と聞く力のバランスに価値がある」というメッセージとして受け取るのがよいでしょう。
グラント自身も、内向型に主張する力を身につけてもらうのと同じくらい、外向型に聞く力を磨いてもらうことが大切だと述べています。どちらか一方の型に寄せるのではなく、自分にない側の力を「少しだけ」借りる。その発想は、後で紹介する第三の選択肢にもつながります。
両向型かもしれない人に見られやすいサイン
次のような項目に多く当てはまる場合、両向型の傾向があるかもしれません。診断ではなく、自分を知るための目安として使ってください。
- 相手や場面によって、話し役にも聞き役にもなれる
- 人と会うのは好きだが、予定が続くとひとりになりたくなる
- ひとりの時間が長すぎると、誰かと話したくなる
- 性格診断を受けるたびに、内向型と外向型の結果が入れ替わる
- 初対面の大人数は疲れるが、気心の知れた仲間とは何時間でも話せる
両向型の人は、自分のエネルギーの波に気づきにくいことがあります。どちらにも対応できる分、気づかないうちに無理を重ねてしまうこともあるからです。今日はどちら寄りの日かを意識するだけでも、予定の立て方が変わってきます。
性格は変えられる? ブライアン・リトルの「自由特性」
内向型の人が人前で堂々と話す姿を見て、「本当は外向型なのでは」と思ったことはないでしょうか。この現象を説明するのが、ケンブリッジ大学などで教えた心理学者ブライアン・リトルの「自由特性理論」です。
リトルは、人には生まれ持った性質である「第一の本性」があるものの、大切な目標や価値のために、その性質とは違うふるまいを選べると考えました。これが自由特性です。たとえば、内向型の教師が、学生のために教室では外向的にふるまう。リトル自身も内向型で、講義では外向的にふるまっていると語っています。
ただし、リトルは自由特性には代償があるとも述べています。本来の性質と違うふるまいを長く続けると、心身が消耗しやすくなる。そこで大切になるのが、本来の自分に戻れる「回復のための場所(リストラティブ・ニッチ)」です。講義のあとに静かな場所でひと息つくなど、意識的に回復の時間をとることが勧められています。
外向的にふるまうと、気分は上がるが後で疲れる
「内向型も、外向型のようにふるまったほうが幸せになれるのでは」という問いは、心理学で実際に研究されてきました。結果は、単純な「イエス」でも「ノー」でもありません。
短期的には気分が上がる
心理学者ウィリアム・フリーソンらは2002年、日常生活での記録と実験室での研究を組み合わせ、人が外向的にふるまっているときほどポジティブな気分が高いことを示しました。この傾向は、もともと内向型の人にも見られたと報告されています。
2012年のゼレンスキーらの実験でも、外向的にふるまうよう指示された参加者は、もともとの性格にかかわらずポジティブな気分が高まりました。ここまでを見ると、外向的にふるまうことにはメリットがあるように思えます。
数時間後に疲れが来る
一方で、フィンランドのレイカスとイルマリネンが2017年に発表した研究は、別の側面を明らかにしました。48人の参加者に12日間、1日5回、自分のふるまいや気分、疲れを記録してもらったところ、外向的なふるまいは、その時点では気分のよさや疲れの少なさと結びついていました。
しかし、約3時間後には疲れの増加と結びついていたのです。この遅れてやってくる疲れは、その間に会った人の数によって説明されました。興味深いのは、この関係が内向型だけでなく外向型にも見られたことです。人と関わること自体が、誰にとってもエネルギーを使う活動だと言えます。なお、サンプルが48人と小さいため、著者自身も結果の解釈には慎重さを求めています。
より内向的な人ほどコストが大きい
さらに、ジャック=ハミルトンらが2019年に発表したランダム化比較試験では、参加者に1週間、日常生活の中で外向的にふるまってもらいました。全体としてはポジティブな気分や「自分らしさ」の感覚が高まった一方、より内向的な参加者ほど気分の改善が小さく、ネガティブな気分や疲れが増え、自分らしさの感覚が下がる傾向が見られました。
著者たちは、外向的にふるまうことを現実の場面で勧めるのは時期尚早だと述べています。つまり、外向的なふるまいには短期的な効果がある一方で、とくに内向型の人にとってはコストも伴う。演じ続けることは、長期的な解決策にはなりにくいということです。
「外向型を演じる」でも「内にこもる」でもない第三の選択肢
ここまでの研究から見えてくるのは、内向型の人が陥りやすい2つの道です。1つは、外向型を演じ続けて消耗する道。もう1つは、疲れを避けるために内にこもり、やりたいことから遠ざかって停滞する道です。ご相談でよく聞くのも、この2つのあいだで揺れる悩みです。
私たち合同会社内向型は、この二択の外に「第三の選択肢」をつくることを提案しています。それは、自分にとって最適な刺激と覚醒の領域、つまり「中庸」に立つことです。刺激が少なすぎれば退屈して停滞し、多すぎれば消耗する。そのちょうどよい領域を知り、意識的にそこへ戻る方法を身につけることが、内向型が力を発揮する土台になると考えています。
私自身も内向型です。「変えるのは性格じゃない、脳の使い方だ」というのが、私たちの考え方の出発点です。性質は100%保ったまま、使い方だけを書き換える。具体的には、次のようなステップで考えます。
- 自分の最適な刺激量を知るどんな場面で元気になり、どんな場面で消耗するのかを記録します。外向性の6つの側面のうち、どこが自分に合っていて、どこが負担なのかを見極めます。
- 外向的にふるまう場面を選ぶすべての場面で頑張るのではなく、自分の大切な目標につながる場面に限って、自由特性を使います。プレゼンや大事な商談など、ここぞという場面に力を集中させます。
- 回復をセットで予定に入れる人と関わる予定のあとには、必ずひとりで回復する時間を入れます。数時間後に疲れが来ることを前提に、予定を組むのがポイントです。
- 内向型のやり方で成果を出す事前に準備する、1対1で深く話す、文章で考えを伝えるなど、内向型の強みが生きるやり方を選びます。
人間関係での具体的な工夫は内向型の人間関係・雑談のコツで、中庸という考え方の科学的な背景は中庸メソッド(認知科学・中庸思想・脳神経科学)でくわしく紹介しています。
まとめ
内向型と外向型の違いは、心地よく感じる刺激の量と、エネルギーの回復の仕方にあります。外向性は連続的な特性で、多くの人はその中間の両向型に位置しています。どのタイプにも強みがあり、優劣はありません。
外向的にふるまうことには短期的なメリットがある一方で、とくに内向型の人には後から疲れというコストが来ることも研究で示されています。外向型を演じて消耗するのでも、内にこもって停滞するのでもなく、自分にとってちょうどよい刺激の領域に立つこと。その第三の選択肢が、内向型が無理なく力を発揮するための鍵になります。
参考文献
- Eysenck, H. J.(1967).The Biological Basis of Personality.Charles C. Thomas.
- Costa, P. T., Jr., & McCrae, R. R.(1992).Revised NEO Personality Inventory (NEO PI-R) and NEO Five-Factor Inventory (NEO-FFI) professional manual.Psychological Assessment Resources.
- Grant, A. M.(2013).Rethinking the extraverted sales ideal: The ambivert advantage.Psychological Science, 24(6), 1024–1030.
- Little, B. R.(2014).Me, Myself, and Us: The Science of Personality and the Art of Well-Being.PublicAffairs.(児島修訳(2016).『自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義』大和書房)
- Fleeson, W., Malanos, A. B., & Achille, N. M.(2002).An intraindividual process approach to the relationship between extraversion and positive affect: Is acting extraverted as "good" as being extraverted?.Journal of Personality and Social Psychology, 83(6), 1409–1422.
- Zelenski, J. M., Santoro, M. S., & Whelan, D. C.(2012).Would introverts be better off if they acted more like extraverts? Exploring emotional and cognitive consequences of counterdispositional behavior.Emotion, 12(2), 290–303.
- Leikas, S., & Ilmarinen, V.-J.(2017).Happy now, tired later? Extraverted and conscientious behavior are related to immediate mood gains, but to later fatigue.Journal of Personality, 85(5), 603–615.
- Jacques-Hamilton, R., Sun, J., & Smillie, L. D.(2019).Costs and benefits of acting extraverted: A randomized controlled trial.Journal of Experimental Psychology: General, 148(9), 1538–1556.
よくある質問
内向型と外向型のいちばんの違いは何ですか?
心地よく感じる刺激の量と、エネルギーの回復の仕方の違いだと考えると整理しやすくなります。外向型は人との交流や変化の多い環境で活力を得やすく、内向型は静かな環境やひとりの時間で回復しやすい傾向があります。ただし、どちらも程度の問題で、多くの人はその中間に位置しています。
両向型(アンビバート)とは何ですか?
内向型と外向型の中間に位置し、場面に応じて両方の傾向を見せる人のことです。外向性は連続的な特性で、極端な内向型や外向型よりも中間付近の人のほうが多いと考えられています。営業成績と外向性の関係を調べた研究では、中間の人の売上が最も高い傾向が報告されています。
内向型が外向型のようにふるまうのはよいことですか?
研究では、外向的にふるまうとその場の気分は上がりやすい一方、数時間後の疲れが増えることも報告されています。また、より内向的な人ほど、1週間外向的にふるまったときのコストが大きかったという研究もあります。必要な場面を選んでふるまい、回復の時間をセットにすることが大切です。
内向型は内気や人見知りと同じですか?
同じではありません。内向型は刺激の好みやエネルギーの回復の仕方に関わる傾向で、内気は人からの評価への不安や緊張に関わる傾向です。人前で話すのが平気な内向型もいれば、人と関わりたいのに緊張してしまう外向型もいます。