仕事・キャリア

内向型に向いている仕事とは? 向き不向きを決める4つの軸と、職種例・働き方のコツ

西村 悠貴 公開 13分で読めます

「内向型に向いている仕事は何だろう」。そう考えて検索すると、たくさんの職種リストが見つかります。ただ、リストの職種に就いたのに疲れ果てる人もいれば、向いていないと言われる職種で長く活躍する内向型の人もいます。結論から言うと、内向型の仕事選びは職種名ではなく、刺激量・裁量・深さ・人との関わり方の4つの軸で判断するのが近道です。この記事では、その判断の枠組みを研究にもとづいて整理し、職種の例、向いていないと言われる仕事での戦い方、リモートワークや会議、転職の考え方まで順にお伝えします。

この記事の要点

  • 内向型に向いている仕事は、職種名より「刺激量・裁量・深さ・人との関わり方」の4つの軸で選ぶと失敗しにくくなります。
  • 同じ職種でも、会社やチーム、担当業務によって4つの軸は大きく変わります。職種名はあくまで入口です。
  • 営業など「向いていない」と言われる仕事でも、準備と傾聴を軸にしたやり方と、回復時間の設計で成果を出す道があります。
  • 転職を考える前に、まず消耗の記録と、今の職場での調整を試すのがおすすめです。

内向型に向いている仕事の結論:職種より「4つの軸」で選ぶ

内向型に向いている仕事とは、刺激の量・働き方の裁量・仕事の深さ・人との関わり方の4つが、その人にとって「ちょうどいい範囲」に収まる仕事のことです。

なぜ職種名で選ばないほうがよいのか。理由は、同じ職種の中にも、まったく違う働き方が混ざっているからです。たとえば「エンジニア」でも、静かに設計に集中できる職場もあれば、一日中会議と問い合わせ対応に追われる職場もあります。

研究の結果も、職種による単純な線引きを支持していません。仕事の成果と性格の関係を調べた有名なメタ分析(複数の研究をまとめて分析する手法)では、外向性は管理職と営業職の成果をある程度予測するものの、その関係は大きくないことが示されました(Barrick & Mount, 1991)。2019年には、外向性と仕事に関わるさまざまな指標をまとめた大規模なレビューも発表され、外向性には「小さいけれど一貫した有利さ」があると報告されています(Wilmot et al., 2019)。

この結果は、内向型にとって耳の痛い話に聞こえるかもしれません。ただ、裏を返せば「内向型だから○○の仕事は無理」と言えるほどの差ではない、ということでもあります。大切なのは、職種よりも、その仕事の中身が自分の気質と合っているかどうかです。内向型という気質そのものについては、内向型とは? 特徴・原因・強みの総合ガイドで詳しく解説しています。

内向型の仕事の向き不向きを判断する4つの軸

ここからは、仕事が自分に合うかどうかを見きわめるための4つの軸を紹介します。どれか1つが完璧である必要はありません。4つを並べて見たときに、全体として「ちょうどいい」に近いかどうかを確かめるのが目的です。

1. 刺激量:音・人・情報の多さはどのくらいか

内向型は、外向型に比べて心地よいと感じる刺激の量が少なめだと考えられています。心理学者のGeen(1984)は、内向型と外向型に、作業中のBGMの音量を自分で選んでもらう実験を行いました。外向型はより大きな音量を選び、それぞれが自分で選んだ音量のもとでは、どちらもよい成績を示しました。

この実験が示すのは、内向型が「刺激に弱い」ということではありません。人によって、力を出しやすい刺激の量が違うということです。電話が鳴り続ける、来客が多い、オープンな席で常に話しかけられる。こうした環境は、内向型にとって刺激が多すぎる可能性があります。

2. 裁量:自分で調整できる余地があるか

刺激が多い仕事でも、自分で調整できる余地があれば消耗はかなり抑えられます。たとえば、集中したい時間に通知を切れる、外出の予定を自分で組める、在宅勤務を選べる、といった裁量です。

心理学者のブライアン・リトルは、人は大切な目的のために、本来の気質とは違う振る舞いを選べると考えました。同時に、そのあとで本来の自分に戻れる「回復の場所」を持つことが重要だと述べています(Little, 2014)。裁量がある仕事は、この回復の場所を自分で確保しやすい仕事です。

3. 深さ:ひとつのことにじっくり取り組めるか

ご相談でよく聞くのは、「同時にいくつもの対応を求められると、頭が真っ白になる」という悩みです。内向型の多くは、ひとつのテーマを掘り下げる仕事のほうが集中しやすいと感じています。

調べもの、設計、分析、文章作成のように、一定時間まとまって考える時間がある仕事は、この軸で相性がよくなります。反対に、細切れの対応が続く仕事は、能力とは関係なく疲れやすくなります。

4. 人との関わり方:量よりも「質」と「形」を見る

内向型に向いている仕事というと、「人と関わらない仕事」が思い浮かぶかもしれません。けれども、内向型の多くは人が嫌いなわけではありません。合いにくいのは、関わる人数の多さや、即興の応対が続く形であることがほとんどです。

少人数、1対1、目的のはっきりした会話、文章でのやりとり。こうした関わり方が中心であれば、人と接する仕事でも力を発揮しやすくなります。

軸合いやすい状態消耗しやすい状態
刺激量静かに作業できる時間と場所がある電話・来客・雑音が絶えない
裁量予定や進め方を自分で組める予定が他人に埋められ、休む余地がない
深さひとつのテーマにまとまった時間を使える細切れの対応や同時並行が続く
人との関わり方少人数・1対1・文章中心大人数・初対面・即興の応対が中心

今の仕事を、次のチェックリストで点検してみてください。当てはまらない項目が多い軸が、消耗の原因になっている可能性があります。

  • 1日のうち、誰にも話しかけられずに集中できる時間が1時間以上ある
  • 予定の入れ方や仕事の進め方を、ある程度自分で決められる
  • ひとつの業務に、まとまった時間をかけられる
  • 人と関わる場面の多くは、少人数か1対1である
  • 文章で考えをまとめて伝える機会がある
  • 人と会う予定のあとに、一人で回復できる時間がある

内向型に向いている仕事の例(職種のグループ別)

4つの軸をふまえて、内向型が力を出しやすい傾向のある職種をグループごとに紹介します。あくまで「条件を満たしやすい例」であり、同じ職種でも職場によって中身は大きく変わることを前提に読んでください。

職種のグループ例合いやすい理由確認したい点
専門・分析系エンジニア、データ分析、研究職、経理、法務深く考える時間が長く、成果が人柄より中身で評価されやすい会議や問い合わせ対応の量
創作・編集系ライター、編集者、デザイナー、翻訳一人で没頭する時間があり、文章や作品で伝えられる締め切りの集中度、修正対応の頻度
1対1の支援系カウンセラー、コーチ、キャリアアドバイザー少人数で深く聴く力が生きる感情的な負荷と、1日の面談数
企画・設計系商品企画、マーケティングの調査・分析、品質管理情報を集めて考え、形にする工程が中心社内調整や発表の多さ
専門性を生かす対人職技術営業、インサイドセールス、提案型の法人営業準備と知識で信頼を築け、1対1の関係が中心新規開拓の比率、ノルマの形

注意

「内向型に向いている仕事」として紹介される職種でも、配属先によっては刺激量が多く裁量が少ないことがあります。求人票の職種名だけで判断せず、1日の業務の流れや会議の量を、面接や職場見学で具体的に確かめることをおすすめします。

内向型の強みそのものを整理したい方は、内向型の強みと、仕事・面接での活かし方もあわせて読むと、職種選びの手がかりが増えます。

「向いていない」と言われる仕事で、内向型が力を出す方法

私自身、健康食品会社で7年間、営業と企画の仕事に携わってきました。営業は、内向型に向いていない仕事の代表のように言われます。けれども研究を見ると、その見方は単純すぎるようです。

営業職:外向型ほど売れる、とは限らない

組織心理学者のアダム・グラントは、コールセンターで働く約340人の営業担当者を対象に、外向性と売上の関係を調べました(Grant, 2013)。その結果、もっとも売上が高かったのは外向性が極端に高い人ではなく、内向と外向の中間にあたる「両向型」の人たちでした。グラントは、両向型は主張するべきときに主張しつつ、相手の話もよく聴けるためではないかと考察しています。

ただし、この研究では外向性がとても高い人だけでなく、内向性がとても強い人の売上も、中間の人より低い傾向がありました。つまり「内向型のままで大丈夫」ではなく、「聴く力を土台にしつつ、必要な場面で一歩踏み出す」という中間の使い方に成果のヒントがある、と読むのが正確です。内向型と外向型、両向型の違いは内向型と外向型の違いで整理しています。

内向型の営業を支える3つの工夫

  1. 準備で勝負する訪問前に、相手の課題の仮説と、聞きたい質問を3つほど書き出しておきます。その場の機転に頼らなくても、会話の主導権を持ちやすくなります。
  2. 話すより、聴く比率を上げる商談の目的を「説明すること」から「相手の課題を正確に知ること」に置き換えます。深く聴く姿勢は、内向型が自然に持ちやすい強みです。
  3. 予定に回復の時間を組み込む商談を1日に詰め込みすぎず、訪問の間に一人で整理する時間を置きます。移動時間を、回復と次の準備にあてるのも有効です。

接客・人前に出る仕事:演じるなら、戻る場所を決めておく

前述のリトルは、自身も内向型でありながら、講義では外向的に振る舞うと述べています(Little, 2014)。大切な目的のためなら、内向型も外向的な振る舞いを選べます。

ただし、それには代償があります。日常生活での気分と疲労を追跡した研究では、外向的に振る舞った直後は気分がよくなる一方、数時間後には疲労が高まる傾向が見られました(Leikas & Ilmarinen, 2017)。小規模な研究なので結論は慎重に扱う必要がありますが、「演じたあとに休む時間」をあらかじめ決めておく意味は大きいと考えます。疲れの仕組みと回復法は内向型が人と会うと疲れる理由と回復法で詳しく解説しています。

リモートワークは内向型に向いているのか

リモートワークは、4つの軸のうち「刺激量」と「裁量」を大きく改善しやすい働き方です。周囲の雑音や突然の声かけが減り、集中する時間を自分で確保しやすくなります。チャットやドキュメントなど文章でのやりとりが増えるのも、考えてから伝えたい内向型には合いやすい点です。

一方で、内向型とリモートワークの相性を直接確かめた研究は、まだ多くありません。「内向型ならリモートワークが最適」と言い切ることはできない、というのが正直なところです。実際には、次のような落とし穴もあります。

  • オンライン会議が連続し、移動がない分かえって休む隙間がなくなる
  • チャットの通知が絶えず、集中が細切れになる
  • 雑談が減り、自分から声をかけないと孤立しやすい
  • 仕事の過程が見えにくく、貢献が周囲に伝わりにくい

対策としては、会議と会議の間に最低15分の空白を置く、通知を確認する時間を決める、週に一度は進捗と考えていることを文章で共有する、といった工夫が役立ちます。リモートワークは「人と関わらない働き方」ではなく、「関わり方を自分で設計できる働き方」と捉えると、うまく使いこなしやすくなります。

内向型が会議・打ち合わせで力を出すコツ

「会議で発言のタイミングを逃し、終わってから良い案を思いつく」。内向型の方からよく聞く悩みです。これは能力の問題というより、会議という形式の問題でもあります。

集団でのブレインストーミングを調べた研究では、集団で話し合うよりも、同じ人数が個別にアイデアを出したほうが、アイデアの数が多いことが繰り返し示されてきました。その主な原因は、誰かが話している間はほかの人が発言できず、考えが途切れてしまう「発言の順番待ち」にあると考えられています(Diehl & Stroebe, 1987)。

この知見は、内向型が会議で不利に感じる理由の一部を説明してくれます。同時に、対策の方向も示しています。

  1. 事前にアジェンダをもらう議題を前日までに確認し、自分の意見を2〜3行で書いておきます。考える時間を会議の前に移すだけで、発言しやすさは大きく変わります。
  2. 早めに一言だけ話す会議の前半で、短い質問や賛成の一言を伝えておきます。一度声を出しておくと、後半の発言のハードルが下がります。
  3. 会議のあとに文章で補うその場で言えなかった考えは、当日中に短いメッセージで共有します。「会議の後に考えを整理しました」と添えれば、熟考した意見として受け取られやすくなります。
  4. 書いて出す時間を提案する可能であれば、最初の数分を各自が意見を書き出す時間にすることを提案してみてください。チーム全体の議論の質も上がりやすくなります。

会議を進める立場になったときの工夫は、内向型リーダーの強みと育ち方で紹介しています。

内向型の転職・キャリアチェンジの考え方

今の仕事がつらいと、「内向型に向いている仕事に転職しよう」と考えたくなります。ただ、職種だけを変えても、4つの軸が変わらなければ同じ消耗を繰り返すおそれがあります。次の順番で進めるのがおすすめです。

  1. 消耗の記録をつける2週間ほど、業務ごとに「疲れた・普通・集中できた」を記録します。4つの軸のどこで消耗しているのかが、感覚ではなく事実として見えてきます。
  2. 今の職場で調整を試す業務の配分や進め方を、自分に合う形へ少しずつ変えていくことは「ジョブ・クラフティング」と呼ばれ、研究の対象にもなっています(Wrzesniewski & Dutton, 2001)。集中業務の時間帯を固定する、資料作成の担当を引き受ける、といった小さな調整から始められます。
  3. 求人を4つの軸で読む転職を考える場合は、面接で「1日の業務の流れ」「会議の頻度」「在宅勤務の運用」「評価の方法」を質問します。職種名ではわからない仕事の中身を確かめるためです。
  4. 小さく試してから決める副業、社内の兼務、短期のプロジェクトなどで、新しい仕事を小さく体験してから判断すると、思い込みによるミスマッチを防げます。

ポイント

転職の目的は「人と関わらない仕事」に逃げることではなく、自分の気質がもっとも生きる条件を整えることです。条件がわかっていれば、職種が変わっても、同じ職場にいても、働きやすさを自分でつくれるようになります。

なお、仕事のつらさが続き、眠れない、気分の落ち込みが2週間以上続くといった状態がある場合は、気質の問題だけでは説明できないこともあります。早めに医療機関や専門家に相談してください。

外向型を演じるか、こもるか。その外にある働き方

内向型の働き方の悩みは、多くの場合、二択に追い込まれることから始まります。外向型のように振る舞って消耗するか、目立たないように内にこもって停滞するか。どちらを選んでも、どこかで苦しくなります。

合同会社内向型では、その二択の外にある「第三の選択肢」を大切にしています。刺激が多すぎも少なすぎもしない、自分にとって最適な領域、つまり「中庸」に立って働くという考え方です。変えるのは性格ではなく、脳の使い方です。性質は100%保ったまま、使い方だけを書き換えていきます。

この記事で紹介した4つの軸は、その中庸を仕事の中で見つけるための地図です。考え方の背景にある研究は中庸メソッド(認知科学・中庸思想・脳神経科学)で、個別に働き方を見直したい方向けのプログラムは内向型専門コーチングで紹介しています。

参考文献

  1. Barrick, M. R., & Mount, M. K.(1991).The Big Five personality dimensions and job performance: A meta-analysis.Personnel Psychology, 44(1), 1–26.
  2. Diehl, M., & Stroebe, W.(1987).Productivity loss in brainstorming groups: Toward the solution of a riddle.Journal of Personality and Social Psychology, 53(3), 497–509.
  3. Geen, R. G.(1984).Preferred stimulation levels in introverts and extroverts: Effects on arousal and performance.Journal of Personality and Social Psychology, 46(6), 1303–1312.
  4. Grant, A. M.(2013).Rethinking the extraverted sales ideal: The ambivert advantage.Psychological Science, 24(6), 1024–1030.
  5. Leikas, S., & Ilmarinen, V.-J.(2017).Happy now, tired later? Extraverted and conscientious behavior are related to immediate mood gains, but to later fatigue.Journal of Personality, 85(5), 603–615.
  6. Little, B. R.(2014).Me, Myself, and Us: The Science of Personality and the Art of Well-Being.PublicAffairs.(児島修 訳『自分の価値を最大にするハーバードの心理学講義』大和書房, 2016)
  7. Wilmot, M. P., Wanberg, C. R., Kammeyer-Mueller, J. D., & Ones, D. S.(2019).Extraversion advantages at work: A quantitative review and synthesis of the meta-analytic evidence.Journal of Applied Psychology, 104(12), 1447–1470.
  8. Wrzesniewski, A., & Dutton, J. E.(2001).Crafting a job: Revisioning employees as active crafters of their work.Academy of Management Review, 26(2), 179–201.

よくある質問

内向型に向いている仕事は何ですか?

特定の職種に限られるわけではありません。刺激の量が多すぎない、働き方に裁量がある、ひとつのことを深く扱える、人との関わりが少人数や1対1中心である、という4つの条件がそろうほど、内向型は力を出しやすくなります。エンジニアや分析職、編集・ライター、専門性を生かす相談職などは、その条件を満たしやすい職種の例です。

内向型は営業に向いていないのでしょうか?

一概には言えません。営業職を対象にした研究では、外向性がもっとも高い人よりも、内向と外向の中間にあたる人の売上が高いという結果が報告されています。事前準備と傾聴を軸にした営業スタイルや、訪問の配置と回復時間の設計で、内向型が成果を出す余地は十分にあります。

内向型にリモートワークは向いていますか?

刺激の量を自分で調整しやすく、文章でのやりとりが増えるため、合う人は多いと考えられます。ただし内向型とリモートワークの相性を直接調べた研究はまだ限られています。孤立や、貢献が周囲に見えにくくなることへの対策もあわせて考えるのがおすすめです。

内向型が転職を考えるとき、最初に何をすればいいですか?

まず2週間ほど、どの業務で消耗し、どの業務で集中できたかを記録してください。そのうえで、今の職場で業務の配分や進め方を調整できるかを検討し、それでも難しければ、求人を4つの軸で読み解きながら転職先を探す順番がおすすめです。

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